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やまね版・里山管理の秘訣

 以下は、里山のことで、水辺グループのある方からのメールの質問に答えたときのものです。
「出来たら、みなさんと想いを共有化したい」とのことでしたので、一部見直して、ブログにも載せることにしました。
 私見ですが、自然から学ぶことを心がけ、実践しながら辿りついた結論なので、大きく違っていることはないと思い
ますが、経験が少ない方や、想いが強い方から見たら、理解し難い面もあるかも知れません。
ただ、50年前に全国各地にあったような里山を目指すのであれば、参考になると思います。

 やまねは、田舎で、親や、集落のみなさんと、今で言う里山の恩恵にあずかって来た世代です。
ですから、その良さも、維持の大変さも知っています。
 30年ほどは、長野県を中心として、自然の調査と案内をしながら多くを学びました。 
 ここ10数年は、多くの仲間と共に、高齢化などで耕作放棄された山間の田んぼを、周囲の山ごとお借りして、
なつかしい生きものたちの空間として維持管理しながら、
その場を子どもたちの自然体験の場として無償提供する活動を通じて学んだことでもあります。



■やまね版・里山管理の秘訣

    里山管理の秘訣は、三つあるように感じています。

    ①一つ目は、 昔の方が長い間やって来たことを踏襲することです。
     ただ、これが意外と難しいです。
     理由も二つ、実際に見聞しにくいのと、真似しているつもりでも抜けがあることです。
     最近の事例では 「ナラ枯れ」 があります。
     都市近郊の場合、市民が里山管理を一生懸命やっているゾーンほど、「ナラ枯れ」がひどい。 なぜか?
     後で判ったことは、間引きしたり、下草刈りをしたのは良いのですが、
     切った丸太を山林内に放置したり、木道として使ったりしたものだから、
     そこがカシノナガキクイムシの異常繁殖の温床になってしまい、集中攻撃を受けた老齢木が枯れています。
     間引きのとき、大径木を残し、細い木(若い木)を切ったのも、昔の方とは、違ったやり方でした。
     昔は、里山のものは、資源として有効利用していましたから、常に人間が撹乱していたのです。
     (手入れとは、少しニュアンスが異なります。) 結果としてのバランスのとれた里山なのです。
     切った木も、直ぐに山から出され燃料にしたりしていました。
  
    ②二つ目は、生きもののためには、どうすべきかと言う視点です。
     たいてい、人としての想いや、価値判断で行動してしまいます。これは、彼らにとっては大きな迷惑です。
     私たちは、彼らが安心して世代交代できる多様な自然環境を再生したり、
     復元させ、保全すれば良いのです。
     多様な生きものがいるところには、多様な植物もあり、結果、人間にとっても、くつろげる空間になります。
     何から学ぶかは、書物などだけではありません。
     その地の自然です。

    ③三つ目は、結果を急がず、時間をかけることです。
     例えば、樹木で判るように、自然のサイクルは、人間の寿命を遥かに越えています。
     ですから、最低でも、30年、出来れば50年、100年先を見越した活動をすることです。
     ものづくりではありません。生きている自然が相手ですから、
     人間が造るとのスタンスではなく、お手伝いをするとのスタンスです。そして、謙虚になることです。

 今の時代、自然との接し方が多様化しています。
中には、想いが強すぎるために、良かれと思って、やらないほうが良いことをしてしまったり、
いいことをしていると勘違いしていることが多い ものです。
 きれいだからと、「ため池」に睡蓮やホテイアオイを入れたり、コイ (注1) を放したり、
山間の道沿いの野草を取り除き、アジサイなどの園芸種を植えたりするのも、これに近い行為です。
でも、これらの人は、知らずにしていることが多いですから、気づくことで良くなる可能性があります。

 人間が生活の糧を得るため里山と接して来た時代が過去のものとなり、荒れるにままになっている現在の
里山を良くするための鍵は、自然を、楽しみや癒しの対象としてだけで捉えている人たちに、
里山は、汗を流しての手入れが必要な所なんだと気づいていただけるか
に掛かっています。
「昔は良かったね。」「あそこへ行くと見られるよ。」とは、よく耳にする言葉です。
車時代になりましたから、お金と、時間と、車のある方は、見れる所まで出掛けて見れば良いかも知れません。
しかし、そんなことを繰り返していても、自然は悪化することはあっても、回復することはありません。
 私たちは、次の時代を背負う子どもたちのことも考えたいと思うのです。
子どもたちが、たまの休みに、親に連れられて自然豊な所で自然に接することでよしとするのではなく、
日常の遊びの中で、友だちと虫を捕ったり、花を摘んだりしながら、自然の中で、のびのび遊べる自然を
私たち大人は再生したり、保全したいものです。
 小学校や中学校の学区単位で考えたら、国や県の絶滅危惧種に指定されていない、
なつかしい生きものや植物が、ここ45年ほどで消えていることに気づきます。
 彼らは、何千年もの間、日本の地で生き続けて来たのですが、ほんの数十年ほどで消えたり、絶滅の危機に
瀕しているのです。
   家の近所に、用排水路ではなく、昔ながらの土と石と草の小川はありますか?
   そこには、フナや小魚や、ゲンゴロウはいますか?
   稲刈りの頃には、田んぼの周りにはアキアカネはいますか?
  植物でも同じです。
   アザミはありますか?
   キキョウやナデシコはありますか?
   ほとんどは消えていると思います。

 一方、昔は見ることのなかった新たな生物も目にするようになりました。
   アカミミガメ、ヌートリア、ブルーギル、ブラックバス、オオキンケイギク、アメリカハナミズキ…等々
 どれもが、深く考えることなく、良かれと思ってして来た結果、いつの間にか増えてしまったものです。
 「オオキンケイギクは問題になっていると聞くが、アメリカハナミズキは外国産でも問題ないのでは?」
 勿論、国の定める外来生物法にある特定外来生物ではありませんが、日本には同じミズキ科で、清楚な花を
咲かせるヤマボウシが山野に自生していますので、わざわざ外国のものを植えたりせず、在来種を植えるようにし、
日本古来の生物を大切にする心を育てたいと思うのです。
 外来種 (注2) 問題は、私がしたわけではないと思われる方が大半かも知れません。
でも、私たちが気づかなかったり、見逃して来たのは事実です。
自治体などの行政にあっては、公園や、街路樹の選定のとき、業者への丸投げが一番よくありません。
自分たちの町を、ふるさとを、国を、どうあってほしいかも考え、選定してほしいものです。

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← ヤマボウシです。

      (愛知健康の森公園)

最近は、在来種を植える自治体など
が出て来ました。ヤマボウシの実は、
人間や野鳥も食べることが出来ます。
 岐阜県の蛭川村の川沿いには
ヤマボウシの素晴らしい自生地が
あります。

 子どもたちは車がありません。 移動手段は、自分の足と、せいぜい自転車です。
出来たら、子どもの足で行ける範囲に、50年前にはあった自然を少しでも取り戻すための手当てを、今のうちに
しておきたいと思うのです。
 幸い、私たちは昔の良さを知っている世代ですから、みなさん方と力を合わせれば、回復のためのアプローチ
になると思います。
 私たちが元気なうちに、みなさん方の支援をいただきながら、方向付を出来たらばと思います。
 時間をかけ、しっかりしたアプローチ戦略を持って進めたいと思います。
なお、情報発信する場合は、謙虚さも必要に感じています。
 
 里山再生の鍵は
楽しむだけで自然の荒廃に無頓着な人や、
言うだけで実行が伴わない人たちに、どれだけご協力いただけるか
 
に掛かっています。
これらの人たちは多数派ですので、ぜひ、同じ想いで自然と接するようになっていただきたいと願うのです。
そのためには、あるべき姿を伝え、意識が変っていただくことが重要になります。
 自然観察の案内役をされる方々は、持っている知識の伝達や、名前や、珍しいものを取り上げたり、嘆いたり
するだけではなく、現状で危惧することや、自然を更によくするためには、私たちはどうすべきかとの視点でも、
しっかりお伝えいただければと思います。
 里山管理をうまくやっている先進地を案内しながら自然観察をするのも、時には必要で、動機付けにも有効です。
なぜなら、観察会に参加される人たちは、自然が好きな方ですから。

 いいとこ取りのつまみ食いの人たちがいくら増えても自然は良くなりません。
踏み荒れや、ゴミの増加、繁殖放棄など、それまでなかった問題が増えるだけです。
 いいことだらけと思える観察会も、やり方によっては、生きものや植物の立場で考えれば問題もあるのです。
 それらのことが解ってなく、実践出来ない人は、観察会の案内役のリーダーとしては失格です。

 これからの自然保護や保全は、行動なくしてはありえません。

 かつて構想段階から関わった長野県のある休養村の森は、約40年を経た今、野鳥の種類も数も年々減り続け
ています。
 そして、当時の村人の願いであった人口増もなく、過疎化にも歯止めが掛かりません。
一方、森や村を訪れる人や、ゴミは、年々増加しています。
繁殖期などは、大きなレンズを持ったプロモドキの人たちが、次々と森の中へ入って行くと役場の方からの報告です。
 行政の依頼で「野鳥の森」づくりにご協力して来たのですが、私の中では、さみしいものだけが残りました。

  なお、自然相手の場合、多数決論理で方向を決めるのは大きな誤りになることが多いです。
 そういった点で、安易なアンケートは問題を引き起こすことも考えておくべきと思います。


  (注1) 日本の場合、コイは昔から愛され、一つの文化を築いて来ましたが、コイを捕っても食べることが
       ほとんどなくなった現在、ため池のような鎖された空間に、きれいだから、釣りにいいからとコイを
       放すと、やがてコイが優先種となります。
       悪食で大食漢のコイの影響は非常に大きく、生態系のバランスを崩し、水質悪化を招くなど、
       自然環境への負荷はブラックバス以上とも言われ、「世界の侵略的外来種ワースト100」
       入っていますので、その扱いは、慎重にすべきです。
       間違っても、見てくれが良いからと、子どもを使っての稚魚の放流などは止めたいものです。

  (注2) 外国産のものだけが外来種ではありません。
       昔からその地に存在した在来種以外のもので、人為的に持ち込まれた種を指します。


                                                                やまね
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by higashiura-satoy | 2009-05-30 06:35 | めざす里山 | Comments(0)

(仮称)『自然環境学習の森』について

 (仮称)『自然環境学習の森』を、50年後には、全国でも素晴らしい里山にするための、私設応援グループです。
 数人で運営して行きます。
 柔軟に対応して行きたいと思いますので、コメントなどよろしくね。 
出来れば一緒に、応援や、汗を流しましょう。   (やまね…なぜか、町民ではありませんが、東浦が好きです。)

■位置など
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 写真は、現在整備中の(仮称)『自然環境学習の森』を東側から見たところで、位置的には、ソニーモバイルさんの西隣になります。
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 緑色で塗りつぶしたところで、東浦町のほぼ中央になります。
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 写真右半分が(仮称)自然環境学習の森付近になります。オレンジ色が宗教施設で西隣に新池があり、その東南側にソニーモバイルさんが見えます。
西隣の谷間には田んぼが見えますが、現在は池に近いほうに残っているだけで、大半は耕作を止めていますので、将来は、これらを水辺として再生するのが良さそうです。
谷間の西が将来の里山(雑木林)ですが、現在は竹が繁茂しています。
 写真中央よりやや西南側に、明覚池が見えます。明覚池は水草が豊富で、野鳥や、トンボがたくさんいますので、明覚池と(仮称)自然環境学習の森とをウォーキング路などで結ぶようにされたら良いように思います。コースは明覚川に沿ったものや、山裾など、いくつか創り、ウォーキングや自然観察が楽しくなるようにされたらと思います。
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 敷地内にある新池です。 少ないですが、冬にはカモたちも観ることができます。
 これからの季節は池周辺と、南の田んぼの辺り(写真左手奥)では、いろんなトンボを観ることが出来ます。
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 4月29日にのぞいたらオオイトトンボの♀がいました。(上記写真) 他にはトラフトンボがいました。
このトンボは、水面に浮く水草がないと子孫を残すことが出来ません。 近くの明覚池には、トンボがたくさんいますので、新池も上手に保全していけば、カモやトンボの楽園になりますよ。
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 田んぼ側から新池方面を見たところです。左手の山には竹が生い茂っていますが、竹林として残す所と、雑木林として再生する所をゾーン分けして、整備し、保全して行きます。
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 現在の田んぼです。ソニーモバイルさんや、豊田自動織機さん、中部電力さんの開閉所などが見えます。

■目ざすもの
 「里山」として自然環境を保全しながら、町民のみなさんが自然に触れ合う中で、いやされ、喜びを得るだけでなく、人と自然の関係を学び、この森に限らず、身近な自然や生きものたちを大切にする心を育てる場を目ざしたいと思います。
 50年前に東浦にあった里山と周囲の自然環境を、50年かけて再生し、育てて行けたらと願っています。
そのためには、珍しいものだからと、よそから持ち込むのではなく、元々東浦にあったもので、里山づくりをして行きたいと思います。

 詳しくは、下記、「(仮称)自然環境学習の森 基本計画」(東浦町)をご覧ください。

http://www.town.higashiura.aichi.jp/28kouen/documents/gakusyuu2.pdf


■利用のご案内 
 現在整備中ですので、正式にはオープンしていません。
 ただ、それを待っていては、もったいないので、下記に注意して、安全や生きもの、植物などに配慮して、
 楽しく、ご利用ください。
 なお、観察して見つけた情報などを、役場にも知らせてもらえたら、うれしいです。 (^-^)

 ◆当面の利用についての注意点 
  ①団体の場合は、役場の公園緑地課(森の事務局です。)まで事前連絡を。電話:0562-83-3111(代)
  ②安全確保のため、子どもだけでは入らないでね。
  ③整備のため重機やチェンソー、草刈り機などを使っています。これらの近くへは行かないでください。
  ④中には、おコメを作っている田んぼがありますので、畦の中へは立ち入らないようにお願いします。
  ⑤子育て中の生きものもいますので、巣などへは近づかずに、静かに見守ってね。
  ⑥当面は、持ち出し禁止です。捕ったり、採ってはいけませんということです。
   でも、将来は、子どもが捕った位で消えないような、そんな里山にして行きたいと考えています。
  ⑦持ち込み禁止。
   良かれと思って、草花や生きものを持って来て、里山の中に放したり、植えたりするのは禁止です。
   ここは、東浦にあったかつての里山を再生し、利用して行くゾーンで、見本園や箱庭ではありません。
   ぜひ、ぜひ、ご協力をお願いします。
  ⑧魚釣りも、当面は禁止です。
  ⑨自然ですので、ハチやヘビなどもいますので、刺激しないようにお願いします。
  ⑩まだ、駐車場がありません。  (町長さん、出来たら仮の駐車場をお願いしますね。)
   入口に鎖があり、車は中へ入れませんので、車は手前において歩いて入ってください。
   その際、車を止める所は、農作業や、他の方の邪魔にならない所を選んでくださいね。
   くれぐれも、安全第一に、自己責任で行動願います。 


■一緒に汗を流しませんか! 
里山の保全は、出来るだけ町民の自発的ボランティアで実施して行きたいと考えています。
ぜひ、私たちと一緒に、素晴らしい里山づくりをしませんか!

 はじめは、自分の興味や関心のあることから、焦らず、無理せず、息長くやって行くことが、良い仕事を楽しくやるポイントでしょうか。
 プロと言えそうな人は、ほんの一握りです、よく考え、学びあいながら、実践して行きます。
 
 どんな仕事があるの?
例えば、竹林の維持管理、雑木林の再生と保全、水辺の再生と保全などがあります。
必要なものを見つけ、どんどんやって行きましょう。
楽しくやる中で、温かい人とのつながりもできて行くと思います。
 未来の子どもたちのために、私たち大人が、汗をかきたいものです。
特に、素晴らしい自然の中で、子ども時代を過せた、あなたこそが頼りです。

■この指とまれ! 

 一緒にやってみよう!と言う方は下記まで。

 東浦町役場(電話0562-83-3111 代表)内、公園緑地課まで。
 Eメールの方は、公園緑地課まで。 koen■town.aichi-higashiura.lg.jp
 なお、迷惑メール対策のため、アドレスの@を■にしてありますので、メールの際は、@に変更願います。
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by higashiura-satoy | 2009-04-30 21:30 | めざす里山 | Comments(2)