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里山林の手入れ…除伐 (里山保全講座)

          2012年12月 2日(日)9:30~13:30 曇りのち小雨

               今日は、今年の里山づくり講座の最終回として、「里山林の手入れ…除伐」が富田先生と、私、やまねを
               講師に開かれました。
               始めに、中央広場で除伐や、木の切り倒し方、安全などについて、お話させていただいた後、一班3名
               になって、森に入っていただきました。


          ご参考
                「除伐」…二次林などの森林を、健全に保つために、不要な木や悪さをしている木を取り除くこと。
                「間伐」…人工林などで、より良い木を育てるために、生育の悪いものなどを間引くことで、               
                      果樹栽培で言うと、摘果に相当します。

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               ↑ 除伐したい木と、将来に残したい木を選ぶ受講生のみなさんです。
               雨が降りそうな天候だったこともあり、除伐したい木は5本、残したい木は2本選んでいただきました。
               なお、選び方は、下記のようなことを考慮していただきました。

          ■ 残したい木
               ①里山林の将来像を考えて選ぶ。  
               ②シンボルとなる木。
               ③少なかったり、貴重な樹種。
               ④景観維持のために役立つ木。
               ⑤洞があったりして生きものの生息に役立つ木。
               ⑥森を歩くときの目印になる木。      など。

          ■ 除伐したい木
               ①枯れていたり、病害虫にやられている木。
                但し、野鳥が営巣に使っていたり、キツツキなどが餌場として利用し、当分倒れる恐れのないときなどは、
                伐採の時期をずらします。
               ②ひ弱な木。
               ③隣の木と干渉している木。 (出来れば隣の木との間隔は5m位確保したら良いでしょう。)
               ④木の成長を阻害しているフジなどのツル植物。
                但し、実害が出てない場合は、種の多様性や景観なども考え、一部残すことも大切です。
               ⑤活力がなくなっている木。(一部の大径木)
                寿命が近づいている木は抵抗力が衰えていて、病虫害に弱くなっています。
                萌芽再生力があるうちに根元から切り、次の世代の木を育てることも大切です。
               ⑥目指したい二次林を阻害する木。
                例えば、明るい広葉樹ゾーンにしたいときは、常緑樹を可能な範囲で除伐します。
                逆に、常緑樹を主体のゾーンにしたい場合は、東浦の場合は、自然の遷移に委ねるのも良いでしょう。
               ⑦姿形の悪い木。
               ⑧外来樹や園芸植物。           など。

               なお、切るにしても、残すにしても、木だけを見て判断せず、里山全体を考えながら進めることが大切です。
               また、林床に目をやれば、どんな木が芽生えて来ているかや、野草などがあまりないことなども気づきます。
               それらを育てたいのか、取り除きたいのかを良く考え、育てたいのであれば、林床に光を当てるために除伐
               し、林内の空間を広げることも大切です。
                

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               ↑ 森の中から見た水辺です。
               正面のフジと、右のクスノキの大径木は、残したい木として、赤いビニール紐が巻かれています。
               ちなみに、クスノキの樹齢は、50~60年ぐらいではとの富田先生のお話しでした。
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               ↑ 残したい木と、除伐したい木を、選んだ理由を説明する1班の方と、それを聞くみなさんです。
               1班の代表の方に選んだ理由を聞いた後、他の班のみなさんからの質問を受け、最後に富田先生から
               次のようなコメントをいただきました。
                 「残したい木としてフジを選ばれましたが、ツル植物だから切ってしまえと機械的に判断せず、
                  巻きついている木にあまり負担になってないことや、花が咲くときれいで、遊歩道から良く見える
                  ので残したいとの理由もうなずけます。」 などのコメントがあり、他の班のみなさんも勉強になりました。

               全班の、残したい木、除伐したい木の説明と、富田先生からのコメントをいただいた後、早めの昼食にし、
               昼から除伐作業に入りました。

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               ↑ 木を切るみなさんです。

               なお、切り倒した木を林内に放置すると病害虫発生の温床になるので、適当な長さに切って広場へ運び、
               乾燥を早めるため井桁に組んだりしました。
               後日、炭や薪にする予定です。
               なお、炭にすることで炭素を固定化出来ますので、温暖化防止にも役立つと言われています。
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               ↑ 枯れ木や竹を燃やし、ポーラス炭にするみなさんです。
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               ↑ 木の根元にあったキイロスズメバチの巣です。 
               今の時期は、ハチやヘビがいないことも、伐採作業には良い時期と言えます。


               途中で雨が降って来たため、当初の予定を早めて、1時半頃、終りにしました。
               関係のみなさん、ご協力ありがとうございました。

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               ↑ 今日の水辺風景です。


          「里山林のこと」

               里山林(二次林)は、放置すれば竹が進出したり、その土地に合った植生へ遷移して行きます。
               知多半島の気候風土の場合、照葉樹林(常緑広葉樹林)への遷移が進みます。
               このことは、学習の森を歩いてみると、落葉樹の他に、シイ、カシ、クスノキ、ソヨゴ、ヒサカキ、カクレミノ
               などの常緑広葉樹がありますので、うなづけることと思います。

               なお、明るい落葉樹林は良くて、照葉樹林は良くないとの短絡的思考は良くありません。
               針葉樹も含め、樹木には、それぞれの良さ、特質がありますので、それら全てを大切にして行くことです。
               ただ、照葉樹林は、かつての里山林と比べると林内は暗くなりますから、林床の野草や低木の低木層は
               貧弱になり、結果、生物の多様性は低下し、景観も変わりますので、学習の森の場合は、明るい落葉樹
               を主にした里山林を目指すのが、生物多様性の観点からも良いように思います。

               昭和30年代半ばまで、里山は、私たち人間が生活の糧を得るため、活用して来ましたので、
               常に手が入り、結果として、落葉広葉樹を主とした明るい里山林(二次林)が保てたのでした。
               つまり、明るい里山林を保つためには、今後も、手を入れることが必要になると言うことで、
               何もせずに、見るだけ、楽しむだけの、いいとこ取りのスタンスは改める必要がある時代になっています。
               なお、照葉樹林も竹林も、それなりの魅力があり、学ぶことも多いですから、
               富田先生も言ってられたように、ゾーン分けして、維持管理されてはと思います。

             
                                                                        (やまね)
by higashiura-satoy | 2012-12-03 09:29
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